小児内分泌疾患|滋賀県大津市の小児科、アレルギー科|たまたにこどもクリニックぜぜ

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小児内分泌疾患

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内分泌疾患とは

内分泌疾患

身体の中にはいろいろな臓器から血液中にホルモンという物質が分泌されていて、ホルモンが全身にいろいろな作用を起こしています。このホルモンの分泌のことを内分泌といい、ホルモンが不足したり多すぎたりすることによって起こる病気を内分泌疾患といいます。

子どもの成長(身長の発育)について

子どもの成長は3段階に分かれます。1段階は出生から4歳頃までの急激に成長する時期で、この時期の成長に重要な要素は栄養と甲状腺ホルモン、先天的な病気です。2段階は4歳頃から思春期が始まるまでの期間で、男女ともだいたい年間5-6cmずつ伸びていきます。この時期の成長に重要な要素は成長ホルモンです。そして3段階が思春期で、男子では13-14歳頃から、女子では10-12歳頃から始まり、1-2年間身長がぐっと伸びてその後伸びが緩やかとなり男子では16-18歳、女子では14-16歳頃に身長の伸びは止まります。この時期の成長に重要な要素は、男子は男性ホルモン(テストステロン)、女子は女性ホルモン(エストロゲン)です。思春期が始まる時期が最終身長に大きく影響し、一般に思春期が早く始まると最終身長は低くなります。

低身長

背が高い低いというのは個性のひとつですが、標準より極端に低い場合や身長の伸びが悪くなってくる場合には、病気が隠れていることがあります。学校ではパーセンタイルという単位を使って身長がどれくらい低いかを判定していますが、医学的にはSDスコア(標準偏差)を使って低身長の程度(平均からどれくらい離れて(ずれて)いるか)を評価します。+2SDは平均(±0SD)よりSD(標準偏差)の2倍大きいことを表し、逆に−2SDは平均よりSD(標準偏差)の2倍小さいことを表します。医学的には−2SDより小さい身長が低身長の定義となっており、頻度としては100人中2-3人の子どもが当てはまります。

低身長児は何らかの病気が隠れているものが3割ほどといわれており、その原因としては成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足、ターナー症候群やプラダーヴィリ症候群など染色体異常、小さく産まれたことが関係しているもの(SGA性低身長)、骨や心臓、腎臓などの慢性疾患、過剰なトレーニングや心理社会的要因など種々なものがあり、診察や検査にてそれらの病気が隠れていないかどうかを調べることが重要です。逆に7割ほどの低身長児は異常が見つからず、体質性や家族性低身長、また思春期がゆっくり進む思春期遅発(いわゆる晩熟)と診断され、その場合は低身長を個性として受け入れていただくことが必要です。

SDスコアは、以前は表と電卓で計算して求めていましたが、最近は低身長でネット検索すると自動的に計算してくれるホームページがたくさんあり、そこに現在の身長や生年月日などを入力するとSDスコアを簡単に知ることができます。そこで身長SDスコアが−2SD以下であった場合には、ご相談に来ていただければと思います。受診の際には母子手帳と保育園や幼稚園、学校の成長の記録を持ってきていただくようお願いいたします。

思春期早発症

思春期が普通より2-3年以上早く始まる病気です。女子では乳房発育76ヶ月未満、陰毛発生80ヶ月未満、初経106ヶ月未満と定義されていますが、実際にはもう少し遅めでも診断となる場合もあります(もともと低身長傾向があるなど)。女子に多く特に原因がないもの(特発性)がほとんどですが、時に脳腫瘍や腹部腫瘍などが原因(器質性)のこともあります。男子はもともと頻度は少ないですが器質性の可能性が高いので要注意です。遺伝的な要素が大きくご両親や兄弟が同じ傾向であることが多いです。また小さく産まれた子ども(SGAと呼びます)が早発になる傾向があります。身長スパートが早く始まるのでその時には身長が高めとなりますが、早く身長が止まってしまうので最終身長は低くなります。早く思春期が始まってしまうことによる心理社会的な要因と予測される最終身長を考慮して、思春期の進行を抑える治療(性腺抑制療法)を行うことがあります。

思春期遅発症

男子では14歳、女子では13歳まで思春期が始まらない状態です。男子に多くご両親や兄弟も同じ傾向になることが多いです。もともと背が低い場合は周りの男子が思春期に入り伸びてくるので、取り残されて一時的に低身長となります。診察や骨年齢で評価して思春期遅発症と診断がつけば経過観察でよく、最終身長は正常またはやや高めになることが多いですが、女子ではターナー症候群の可能性もあり注意が必要です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺は喉仏の下にある臓器で、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌しています。バセドウ病とは免疫の異常で甲状腺を攻撃する抗体(TSH受容体抗体)が体内で作られ、それが甲状腺を刺激し続けることで甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、甲状腺機能亢進症の大部分を占めます。甲状腺ホルモンが多すぎることにより甲状腺の腫れ、体重減少や脈が速くなる、指の震え、目がとび出てくる等の症状が出てきます。血液検査ですぐに診断がつきますので、疑わしい症状がある時はご相談ください。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが足らなくなる病気です。甲状腺ホルモンは特に乳幼児期の成長・発達にとって大変重要なホルモンなので、この不足は子どもに重大な影響を及ぼします。先天性(生まれつき)と後天性(生まれた後)に分かれ、先天性は新生児マススクリーニング検査で新生児早期に見つかることが多いですが、中枢性甲状腺機能低下症といってマススクリーニングで見つからないものもたまにあります。症状は哺乳不良や体重増加不良、不活発、声のかすれ、巨舌、発達の遅れなどがみられます。後天性は慢性甲状腺炎(橋本病)という免疫異常によるものが多く、甲状腺の腫れ、倦怠感、むくみ、便秘、寒がるなどの症状がでます。治療は甲状腺ホルモンを毎日内服します。